母が亡くなった後の手続きを自力でやりきったので記録しておこうと思う (2) 戸籍謄本の収集

(1) のつづき。相続などの手続きに絶対に必要になる「戸籍謄本」の話。

前提

  • 僕の両親は離婚していて、その後母は再婚していない
  • 兄弟は3人。長男の僕と次男の弟、そして長女にして末っ子の妹がいる。
  • 僕は東京住まい、弟は兵庫県で父と住んでいて、妹は大阪で母と住んでいた。
  • 兄弟仲は悪くない状態になっている
    • 過去は一言も口をきかないレベルで、母を通じてお互いを知るという状況だった。
  • 不動産などの大きな財産はなかった

役に立った本

インターネットで色々調べたけど、それぞれが書きたいことを書いている感じで何が正しいのか判断できなかったので、まとまってる本を買った。

大切な人が亡くなった後の手続き 完全ガイド

大切な人が亡くなった後の手続き 完全ガイド

免責事項

この記事はあくまで個人の体験に基づいて記載されたもので、法律の専門家の監修を受けたりしていません。 内容についての責任および、この記事に記載の方法を実践した事による責任は負いません。 お困りの場合はお近くの法律の専門家にお問い合わせください。


1枚で戸籍謄本と同等の効果が期待できる「法定相続情報一覧図の写し」

弟が「念のため借金がないか確認しておいてほしい」と言った。ごもっともだとおもうので、先日CICのものは取り寄せたが、念には念を入れて全銀協とJICCのものを取り寄せることにした。

CIC は必要書類が少なくて済んだが、全銀協とJICCにも戸籍謄本を要求され、しかも返ってこないとある。こりゃきりがないな…って思っていたところ、その下に以下の記述があったのを見つけた。

法務局発行の「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付きの書類原本)をご提出いただく場合は、開示対象者の死亡を証する資料および開示請求者が法定相続人であること(続柄等)を証する資料のご提出は原則不要です。

調べてみると、必要書類を集めて法務局に持って行くことでその後の相続関連の手続きで戸籍謄本の代わりとして使える「法定相続情報一覧図の写し」というものを無料で何枚でも出してくれるとのこと。

以後の手続きを進めるため、まずはこの「法定相続情報一覧図の写し」を作るところから始めた。

戸籍の仕組みを知った

さて、前回弟に戸籍謄本を取ってきてもらったと書いたが、母の最後の戸籍は兵庫県にあって、ここで「出生から死亡までの」と要求して出てきた戸籍謄本には「コンピュータ出力されたもの」と「横向け縦書きの紙をスキャンしたっぽいもの」の2枚が出てきた。この「横向け縦書き」の戸籍謄本は「平成改製原戸籍*1」といい、コンピュータ化される前のものをスキャンして保存しているらしい。逆に現在の戸籍を電算化戸籍と言ったりするそう。(以下平成改製原戸籍を単に原戸籍と書く)

「昭和xx年x月x日xxx市で出生 昭和xx年x月x日父届出 同月x日xxから送付入籍」というのがここに書いてあったのでこれで要件を満たせると思っていたのだが、実はこの戸籍謄本だけでは「いつ母が亡くなったか」しか証明できないため情報が不足している。

戸籍というものはいわばリンクリストのようになっていて、結婚や離婚で籍が新たに作られるが、その元となる戸籍に辿っていけるようになっている。最終的に生まれた時に初めてその人の父母の戸籍に入ったところまで辿れるようになっている*2*3

これを辿っていくことでその間にできた子供が記録されていて「知らない兄弟が見つかる!」というイベントが発生したりするわけだ。

例えば、母は離婚後一人の戸籍だったが、これだけだと僕ら兄弟が横に並んでいないので家族関係を証明することができない。まだ結婚している時のものが必要になる。「入籍」「除籍」のところを読みながらたどっていくことになる。最後の戸籍の原戸籍を見たら、入籍前の戸籍には宮城県にある父の戸籍が書いてあった。

遠隔地の戸籍を取り寄せる

父の戸籍は宮城県にあるのだが、さすがに東京と大阪に住んでいる僕らがおいそれと宮城県に行けるわけがない。

そんな人たちのために、離れた場所の戸籍謄本は郵送で取り寄せることができるようになっている。各市町村のウェブサイトを見れば送り先や申請のフォームが掲載されている。例えば、僕の出身地である兵庫県伊丹市では 郵便による戸籍・住民票の請求方法/伊丹市ホームページ というページがあった。

申請書と本人確認書類、返信用の封筒と料金分の定額小為替を送ると送ってくれる。お値段は1通750円が相場だった。自分の名前が入っていない戸籍を取り寄せるためには、母と自分の関係を証明するために一緒に入っている時の戸籍のコピーを同封する必要があった。

辿ってみると母の名前がなかった

ちょうど年金の手続きに使うために妹と弟が入っている父の戸籍を取っていたので確認したところ、母の名前は存在しなかった。両親の離婚後、分籍して籍を抜いた僕の名前は存在していた。

何が起こったのかというと、どうも電算化戸籍には、改製のタイミングで除かれていた人は移されなかったらしい。僕が分籍したのは電算化戸籍になってからだったので名前が残っていたことになる。

図にするとこういうことだ

f:id:iseebi:20180708223522p:plain

というわけで、父の戸籍における、改正原戸籍を再度請求することになり、二度手間になってしまった。原戸籍を取ると、無事我々兄弟と、母が並んで記載されているものを取得できた。父との婚姻届で入籍する前の戸籍(祖父の戸籍)のありかがこれでわかった。とある町だったが、平成の大合併でなくなっているので、そういうときは合併後の市に取り寄せると良いらしい。

恐れていたことが起こった

祖父の戸籍を取り寄せた。もうこれで終わりだと思っていた。しかし現実はそう甘くなかった。

母の名前が二つ並んで×されている…!*4

最初どういうことかよくわからなかった。落ち着いて整理するとこういうことだった。

f:id:iseebi:20180708231513p:plain

父の前に誰かと結婚していた!!!誰よその男っ!!!www

これが判明した日は相当ショックを受けたらしく、Splatoon2でありえんプレーをして友人からツッコミを受けた。後日、兄弟に話したところ三人とも知らされていなかった事実だった。叔父と会ったときに聞いたら「知らんでええことや」とはぐらかされた。闇。

もちろんこの謎の男の戸籍謄本も必要となる。続柄とかどう書けば良いかわからなかったので、役所に直接取りに行った。

これは先に書いた「知らない兄弟が見つかる!」というイベントもありえるので怯えながら確認したが、母と前の夫の間には子供がいなかったので一安心。


なんだかんだあったけど、無事戸籍謄本の束が揃った。全部で5000円近くかかってるので、後の手続きで使い放題になる「法定相続情報一覧図の写し」に期待が高まる。

次は「法定相続情報一覧図の写し」を作るお話。

*1:原戸籍は「げんこせき」と読むが、「現戸籍」と混同しないよう実務では「はらこせき」と読まれるそう

*2:また、その本籍の間に住所を移した記録が残る「戸籍の附票」という便利アイテムもあるそう。もし知らない兄弟が見つかった場合、その人にも相続の権利があるので附票を取って連絡することになったが、その場合は相手が怖かったら嫌なので弁護士さんに相談しようと思っていた。

*3:ちなみに戸籍は除かれてから150年保存されるので、人一生分の期間は保持される。過去は80年だったが、人が長生きするせいか長くなったらしい。

*4:ちなみに離婚回数のことを「バツイチ」「バツニ」とか言ったりするが、この電算化前の戸籍で名前欄に×がつくことからきているらしい